公務員試験の合格を目指す大学生にとって、いつから勉強を始めるべきかは重要なポイントです。公務員試験には国家公務員試験(総合職・一般職・専門職)や地方公務員上級試験、市役所試験、警察官・消防官試験など様々な種類があります。それぞれの試験に合格するためには、計画的な学習が求められます。本記事では、大学生が公務員試験の勉強を始める最適な時期や効果的な勉強方法、面接対策、職種別の勉強時間について詳しく解説します。
大学生は公務員試験の勉強をいつから始めるべき?
大学生が公務員になるためには、一般的に「大卒程度」の公務員試験を受験し、合格する必要があります。大卒程度の区分が実施されている公務員試験としては、国家公務員試験(総合職・一般職・専門職)や地方公務員上級(Ⅰ類)試験、市役所試験、警察官・消防官試験などが挙げられます。まずは自分が受験できる職種を調べてみましょう。
大学生は公務員試験の勉強をいつから始める?
公務員試験の勉強は、一般的には1~2年前から始めることが多いです。公務員試験は科目数も多く、出題範囲が広い上に論文・面接の対策も必要となるため、一般的に1000~1500時間程度の学習時間が必要と言われています。公務員を志望する受験生は長期的な計画を立て、余裕を持って勉強を進める人が多く見られます。無理なく取り組むためにも、1日でも早く対策を始めることをおすすめします。
大学2年生から試験勉強を始める
近年では2年生から始める方が増えてきています。公務員試験は3年生から始めるのが一般的ですが、大学の講義、部活、サークル、アルバイトなどで3年生時に時間を取ることが難しい方や、大学入試が一般入試・入学共通テストではなく総合型・学校推薦選抜等で入試対策を経験したことがない方には大学2年生からの早期スタートをおすすめします。
大学2年生から始めるメリット
公務員試験の中で重要科目と言われる「数的処理」「経済原論」は、受験生の多くが苦手とする科目です。こういった科目を2年生から対策を始めることで苦手意識を払拭し、得点源とすることができれば他の受験生と比べて一歩リードすることが可能です。
さらに、余裕を持ったスケジュールで対策することで様々な活動に時間を割くことができたり、民間就職活動との併願もしやすくなります。
大学3年生から試験勉強を始める
公務員試験合格者の大半は大学3年生から始めています。公務員試験対策予備校で用意しているカリキュラムの多くも1年間かけて対策するものがスタンダードです。特に3年生次の夏季休暇頃までに始める方が多くいます。大学生は夏・冬・春とまとまった休みがあるので、これを有効活用することができれば十分に間に合います。
しっかりと計画を立てて遂行することができれば試験の突破は十分可能です。「合格」という目標に向かって頑張りましょう。
公務員試験の面接対策を始める時期と効果的な対策方法
公務員試験の面接対策は、面接試験の1ヵ月前から始めるのがおすすめです。その理由は、公務員試験の面接は筆記試験に合格した人のみが受けられるため、まずは筆記試験の合格に重点を置くべきだからです。筆記試験の勉強に集中し、その後、面接試験の準備に切り替えることで効率的に対策ができます。
公務員面接試験の特徴
公務員の面接試験では、それほど特異な質問がされることは少なく、自己PRや志望動機といった基本的な内容が中心です。そのため、1ヵ月前からの準備でも十分に対応できると言われています。
面接で主に聞かれる内容
- 自己PR: 自分の強みや特技、これまでの経験についてアピールします。具体的なエピソードを交えて話すと説得力が増します。
- 志望動機: なぜ公務員になりたいのか、どのようにしてその志を抱いたのかを明確に説明します。具体的な職務や自治体、機関についての知識を持っていると良いでしょう。
- ガクチカ(学生時代に力を入れたこと): 大学1年や2年の間に力を入れた活動や経験を話します。アルバイト、ボランティア、部活、サークル活動など、どんな経験でも具体的な成果や学びを交えて話すと良いです。
効果的な面接対策の方法
- 自己分析: 自分の強みや弱み、これまでの経験を振り返り、自己PRや志望動機を明確にします。
- 模擬面接: 家族や友人、予備校の講師と模擬面接を行い、実際の面接に慣れておくことが重要です。フィードバックをもらい、改善点を洗い出しましょう。
- 過去問や想定質問の研究: 過去の面接試験でよく出される質問を研究し、それに対する答えを準備しておくと安心です。
- 身だしなみやマナーの確認: 公務員としての適性を見られるため、清潔感のある身だしなみや礼儀正しい態度を心掛けましょう。
面接対策のスケジュール例
- 1ヵ月前: 自己分析を行い、自己PRや志望動機を明確にする。模擬面接を始める。
- 3週間前: 模擬面接を重ね、フィードバックを基に改善を行う。過去問や想定質問の答えを準備する。
- 2週間前: 面接での話し方や表情、態度に注意し、さらに模擬面接を行う。面接に必要な書類を確認し、準備する。
- 1週間前: 最終確認として、もう一度自己PRや志望動機を見直す。面接当日の服装や持ち物を準備する。
公務員試験の職種別勉強時間
公務員試験の勉強時間やポイントは、職種によって異なります。地方公務員、国家公務員(国家一般職、国家専門職)では800~1200時間程度を、国家公務員の中でも国家総合職であれば1200~1500時間程度を目安にするといいでしょう。消防士や警察官は勉強時間だけではなく、体力作りの時間も確保しなければいけません。ここでは、職種別の公務員試験の勉強時間やポイントについて解説します。
地方公務員、国家公務員(国家一般職、国家専門職)
地方公務員に加えて国家一般職、国家専門職といった国家公務員は国家総合職より難易度が下がるものの、800~1200時間程度の学習が必要です。教養試験においては知能分野(数的処理、文章理解)の出題数が多いため、重点的に対策を取っておきましょう。特に、数的処理は過去問と同じタイプの問題がそのまま出題されるケースもあることから、過去問を中心に数をこなしていくのがポイントです。また、地方公務員の試験では論文対策も重要です。限られた時間の中で文章が執筆できるように、時間を計りながら書く練習を繰り返していきましょう。
試験 | 試験種目 | 解答題数 | 解答時間 | 配点比率 |
---|---|---|---|---|
第1次試験 | 基礎能力試験(多肢選択式) | 30題 | 1時間50分 | 2/9 |
専門試験(多肢選択式) | 40題 | 3時間 | 4/9 | |
一般論文試験 | 1題 | 1時間 | 1/9 | |
第2次試験 | 人物試験 | – | – | 2/9 |
国家公務員(国家総合職)
公務員の中でも最難関といわれる国家総合職は、1200~1500時間程度の勉強が必要だといわれています。そのため、1年以上前から計画的に勉強するのが必須といえるでしょう。国家総合職の試験では、専門択一試験と専門記述試験の内容で重複する科目があります。そこで、専門択一試験対策として知識をインプットした後、過去問でアウトプットし、定着した知識を専門記述試験対策に応用すると効率よく勉強を進められます。
また、国家総合職の試験では、TOEFLやTOEICといった外部テストの結果を提出すると総得点に加点されるため、英語の勉強に力を入れるのもおすすめポイントです。
国家総合職の試験は、択一、記述、面接等すべての試験で基準点に達しない試験種目が1つでもある場合、不合格となります。そのため教養試験も手を抜けません。問題自体の難易度が格段に高いため、数的処理や文章理解といった科目は長期間コンスタントに学習する必要があります。
勉強期間: 1年以上
勉強時間: 1,500時間程度
試験種目(2024年度 大卒程度の場合)
試験 | 試験種目 | 解答題数 | 解答時間 | 配点比率 |
---|---|---|---|---|
第1次試験 | 基礎能力試験(多肢選択式) | 30題 | 2時間20分 | 2/15 |
専門試験(多肢選択式) | 40題 | 3時間30分 | 3/15 | |
第2次試験 | 専門試験(記述式) | 2題 | 3時間 | 5/15 |
政策論文試験 | 1題 | 2時間 | 2/15 | |
人物試験 | – | – | 3/15 |
Point!!【英語試験】
外部英語試験(TOEFL(iBT)、TOEIC Listening & Reading Test(公開テストに限る。)、IELTS、実用英語技能検定)を活用し、スコア等に応じて総得点に15点又は25点が加算されます。
※詳細は「国家公務員試験 採用情報NAVI」をご確認ください。
警察官や消防士(消防官)
警察官や消防士(消防官)は、教養試験と論文試験が実施されます。警察官の教養試験は消防士より難易度が低いものの、出題形式・出題範囲に大きな違いはないため計画的な勉強が重要です。また、消防士の教養試験は行政事務職員と同じ試験科目が課せられるため、幅広い知識を身に付けておく必要があります。警察官や消防士(消防官)は筆記試験だけではなく体力試験も実施されるため、体力トレーニングも行わなければいけません。心身ともに鍛えておく必要がある職種といえるでしょう。
職種ごとの試験勉強方法のポイント
次に職種ごとに合格のために必要な勉強時間や勉強方法のポイントを見ていきましょう。
国家一般職・地方公務員
公務員の中でも多くの方が受験する都道府県庁や国家一般職の教養試験は大学入試レベル、専門科目は大学専攻レベルの問題が出題されます。教養試験は、知能分野(文章理解・数的処理)の出題数が多いため重点的な対策が必要です。特に数的処理は試験によっては過去問の類題がそのまま出題されることがあるため、過去問を丁寧に、数多く学習していくことが大事です。専門試験は、出題数が多く高配点となる憲法・行政法・経済原論といった科目から優先的に対策を始めましょう。科目数が多いため、しっかりとした計画を立てて学習を進めることが重要です。
また、ほとんどの試験では論文試験が課されます。択一対策と併行して必ず論文試験対策も行いましょう。限られた時間で、普段は意識していないような課題を文章にするのは簡単ではありません。学習にあたっては、時間を測って実際に書いてみることが大事です。書き上げて満足するだけでなく、できれば他人に見せて添削してもらう機会を設けることをおすすめします。
なお、特に地方自治体では、面接試験のウェイトが非常に高くなる傾向があります。受験先の仕事内容を調べる、ボランティアやアルバイト、ゼミやサークル活動をするなど、普段から面接試験でどう語るかを意識しておくと直前期に安心して試験に臨めるでしょう。
勉強期間: 6ヶ月~1年程度
勉強時間: 800~1,000時間(市役所の教養試験のみの場合は300~500時間)
国家総合職
公務員の中でも最難関といわれる国家総合職は、1200~1500時間程度の勉強が必要だといわれています。そのため、1年以上前から計画的に勉強するのが必須といえるでしょう。国家総合職の試験では、専門択一試験と専門記述試験の内容で重複する科目があります。そこで、専門択一試験対策として知識をインプットした後、過去問でアウトプットし、定着した知識を専門記述試験対策に応用すると効率よく勉強を進められます。
また、国家総合職の試験では、TOEFLやTOEICといった外部テストの結果を提出すると総得点に加点されるため、英語の勉強に力を入れるのもおすすめポイントです。国家総合職の試験は、択一、記述、面接等すべての試験で基準点に達しない試験種目が1つでもある場合、不合格となります。そのため教養試験も手を抜けません。問題自体の難易度が格段に高いため、数的処理や文章理解といった科目は長期間コンスタントに学習する必要があります。
勉強期間: 1年以上
勉強時間: 1,200~1,500時間
警察官・消防官
筆記試験は主に教養試験と論文試験が課されます。消防官の教養試験は、行政事務職員と同一の教養試験で行われることが多いため、同様のレベルの学習が要求されます。警察官の教養試験は消防官より易しめですが、範囲や科目に違いはなく、多くの科目を学習する必要があります。自分の不得意分野を早期に把握し、計画的にコツコツと学習を進めることが必要です。
また、論文対策も重要です。500~600字から多いときには1500字程度の文章を、読みやすく、論理を一貫させて書くことは難しいものです。警察官や消防官は危険を伴う仕事であることもあり、「職務に対する心構え」や「職務にあたり必要と思うこと」など、抽象的・主観的なテーマが論文課題として問われることもあります。普段から実際に手を動かして論文を書き上げる練習をすることが非常に大事です。
さらに、警察官・消防官とも筋力や瞬発力、持久力を測る体力試験が課されるため、勉強だけでなく普段からトレーニングしておく必要があります。心身共に試されるのが警察官・消防官の試験です。他の公務員試験以上に普段の健康管理が大事です。
まとめ
公務員試験の勉強開始時期は1~2年前が目安で、特に大学2年生から始めると余裕を持って対策が可能です。この時期から重要科目である数的処理や経済原論の対策を始めることで、苦手意識を払拭し、得点源とすることができます。また、早期スタートにより民間就職活動との併願もしやすくなります。大学3年生からのスタートでも、夏・冬・春のまとまった休みを有効活用し、計画的に進めれば十分に合格可能です。面接対策は筆記試験合格後の1ヵ月前から始めるのがおすすめです。面接試験では自己PRや志望動機といった基本的な内容が中心となるため、短期間でも効果的な対策が可能です。自己分析や模擬面接、過去問の研究を通じて実践力を高めましょう。
職種別の勉強時間については、地方公務員・国家一般職・専門職が800~1200時間、国家総合職は1200~1500時間が目安です。地方公務員や国家一般職では、知能分野(数的処理、文章理解)の出題数が多いため、これらの対策を重点的に行うことが重要です。また、地方公務員試験では論文試験対策も欠かせません。国家総合職では専門択一試験と専門記述試験の内容が重複するため、効率的な学習が求められます。TOEFLやTOEICの結果を提出すると加点されるため、英語の勉強にも力を入れましょう。
警察官や消防士は教養試験と論文試験に加えて体力試験も実施されるため、体力作りも重要です。心身ともに鍛えておく必要があります。全ての試験で基準点に達しない場合、不合格となるため、バランスよく対策を行いましょう。それぞれの試験対策に応じた計画を立て、無理なく準備を進めることが合格への鍵です。
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