地方公務員とは?試験内容や仕事内容、おすすめポイントを徹底解説!

公務員

地方公務員とは?

地方公務員とは、地方の機関(都道府県庁・市町村)で働く公務員を指します。県庁や市役所の職員以外にも、警察官や消防官などの公安系職種も地方公務員に含まれ、全国で270万人以上が地方公務員として働いています。公務員全体の約80%以上は地方公務員が占めています。

地方公務員は二層制を採用

公務員は大きく「国家公務員」と「地方公務員」の2種類に分けられます。国家公務員は、行政府、司法府、立法府などの国の機関で働き、それぞれの府省庁ごとに異なる分野を担当することが特徴です。

一方、日本の地方自治制度は、市区町村と都道府県の二層制を採用しています。地方公務員は、市区町村などの基礎自治体で働く職員と、都道府県などの広域自治体で働く職員に大別されます。

説明
市区町村基礎的な地方公共団体であり、地域住民の行政窓口として基礎手続、消防、ごみ処理、上下水道の整備、公園や緑地の整備、まちづくり、各種施設の運営管理などを担います。
都道府県広域的な地方公共団体であり、市町村単位では処理が困難な業務や全体で統一すべき業務を担います。
政令指定都市都道府県と同格の扱いを受ける大規模都市で、市町村業務に加え、道府県に代わって福祉や都市計画などの業務も担います。
東京特別区東京23区それぞれが区長公選制、区議会、条例制定権、課税権を持ち、区民に対して第一義的に責任を負っています。

国家公務員との違い

公務員は、大きく「国家公務員」と「地方公務員」の2種類に分かれます。国家公務員は政府を支える国の機関であり、行政府、司法府、立法府と府省庁ごとに担当する分野が異なることが特徴です。

一方、地方公務員の役割は市町村や都道府県、政令指定都市、特別区によって異なります。以下に国家公務員との違いをまとめます。

  • 働く場所: 国家公務員は中央官庁やその出先機関で勤務します。一方、地方公務員は県庁や市役所など地方の機関で勤務します。
  • 役割: 国家公務員は国家の運営に携わり、地方公務員は地域住民や地域に密着した行政サービスを担います。
  • 試験の難易度: 国家公務員の方が難易度は高く、地方公務員の方がチャレンジしやすいといえます。
 

都道府県庁職員の仕事内容

例えば、各都道府県に設置された都道府県庁に勤務する職員は、国と市区町村の間に立って連絡調整を行ったり、民間企業の対応をしたりします。具体的には、飲食店の営業許可や立入検査、病院や薬局の開設許可など、都道府県民の生活に欠かせない業務を行います。

市役所職員の仕事内容

市役所職員はその地域の行政を担い、高齢者福祉や児童福祉に関する相談窓口、戸籍登録などの対応が主な仕事です。地域の人口が5万人以下の場合は市ではなく町村となりますが、それぞれの役場に勤務するのも地方公務員です。

その他の地方公務員の仕事内容

このほか、警察事務や学校事務なども地方公務員の一つです。これらの職務は地域住民の安全や教育環境を支える重要な役割を果たしています。

地方公務員の年収

総務省の令和3年度地方公務員給与の実態によると、地方公務員の平均年収は約659万円(6,432,770円)です。これは、民間企業の平均年収よりおよそ200万円以上高い額になります。年収から月給にあたる部分を抜き出してみると、地方公務員の平均月給は402,948円で、その内訳には平均基本給月額343,207円と各種手当が含まれています。

地方公務員の給与には、月額支給される給料及び手当(扶養手当、地域手当、通勤手当、特殊勤務手当、時間外手当、その他の手当)が含まれます。また、年額支給手当として、寒冷地手当、期末手当、勤勉手当が含まれます。期末手当、勤勉手当はボーナスとして支給され、寒冷地手当は特定の地域で勤務する人に支給されるため、対象外の地域もあります。

※参考:令和3年分民間給与実態統計調査結果

初任給と初年度の年収

総務省の令和3年度地方公務員給与の実態によると、地方公務員(一般行政職)の初任給は、大学卒で平均187,623円、短大卒で167,464円、高卒で154,067円です。初任給には基本給に加えて諸手当が含まれ、実際の初任給の総額はこれらを加味した金額となります。

新卒地方公務員(一般行政職)の初年度の平均年収は、大卒で約309万円(3,095,780円)、短大卒で276万円(2,763,156円)、高卒で254万円(2,542,106円)程度です。これには諸手当が含まれておらず、実際の年収はもう少し多くなると考えられます。

若いうちの年収は平均年収600万円台よりかなり低いものになりますが、公務員の給与は毎年上がるため、年収600万円以上を目指すことは可能です。

※参考:令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果

地方公務員の試験内容

地方公務員になるためには、地方公務員試験に合格する必要があります。ここでは、その制度や受験資格、勉強方法について解説します。

地方公務員試験の上級・中級・初級の区分

地方公務員試験は「上級・中級・初級」の試験問題の難易度によって以下のように区分されています。

  • 初級(地方初級):高卒程度の学力
  • 中級(地方中級):短大卒程度の学力
  • 上級(地方上級):大卒程度の学力

難易度の区分のため、「大学卒業者が初級試験」「高校卒業者が上級試験」を受けることも可能で、学歴は関係ありません。また、上級・中級・初級の呼び方は「大卒程度」と記載されている場合や「Ⅰ類」と記載されている場合もあります。ただし、自治体によって「大学卒業・大学卒業見込み者」と限定している場合もあるため、注意が必要です。

一般的には、自身の最終学歴を元に選択することがほとんどです。

地方公務員1次試験の教養試験と専門試験

地方公務員試験の1次試験は、教養試験(教養科目・基礎能力試験)と専門試験(専門科目)に分けられ、以下のような違いがあります。

  • 教養試験: 通常の試験形式(選択式問題、記述式問題、英語式問題など)
  • 専門試験: 地方公務員としての業務に必要な専門的な知識や能力を評価する試験(質問形式や筆記形式、実技試験など)

教養試験

教養科目:

  • 一般知能分野
    • 数的処理(判断推理、数的推理、資料解釈)
    • 文章理解(現代文、英文)
  • 一般知識分野
    • 社会科学(現代社会、政治経済)
    • 人文科学(日本史、世界史、地理)
    • 自然科学(化学、生物)

専門試験

専門科目:

  • 法律系科目
  • 経済系科目
  • 行政系科目
  • 商業系科目
  • その他の科目(心理学・教育学・数学・物理・土木・建築・化学・農学など)

教養試験については、どの自治体でも同じような出題になりますが、自治体特有の問題が出される場合もあるため、注意が必要です。専門試験については、受ける職種等によって試験内容が異なるため、注意しましょう。さらに、1次試験で論文試験、専門記述試験、SPI(SPI方式)などが行われる場合もあります。

地方公務員2次試験

地方公務員試験の2次試験は、1次試験の合格者のみが受けることが可能となります。多くの自治体の場合、2次試験の試験内容は以下の通りです。

  • 面接試験: 人柄やコミュニケーション能力を評価する試験
  • 論作文試験: 自分の意見や考えを論述式で回答する試験

面接試験は、個人面接の場合やグループ面接の場合など様々であり、1次試験と2次試験は別日に行われることが一般的です。(同時に行われる場合もあります。)2次試験合格者は「最終合格者」となります。(3次試験、4次試験がある場合は、その試験合格者が最終合格者となります。)

最終面接・採用面接

地方の自治体や市役所等に勤務する場合、採用面接・最終面接が行われる場合があります。(各地方自治体によって異なります。)採用面接や最終面接は、確認のための面談である場合もあれば、市長や副市長が同席する場合もあるため、注意が必要です。

質問形式の面接となる場合が多く、2次試験の面接で聞かれた内容を把握しながら、志望動機や自己PR、行いたい仕事、逆質問なども準備しておきましょう。

地方公務員のおすすめポイント

ここからは、地方公務員のおすすめポイントや向いている人について解説していきます。

収入が安定している

地方公務員の大きなメリットは収入が安定していることです。余程の事由がない限り、定年まで安心して働くことができ、給料や賞与が経済状況に左右されません。給料は税金から支払われ、ボーナスや退職金の額も大きいです。また、民間企業のような不況による倒産や解雇などがないのも地方公務員の魅力です。

福利厚生が充実している

地方公務員はあらかじめ定められた福利厚生をしっかりと受けることができます。例えば、扶養手当や児童手当、超過勤務手当などの各種手当が挙げられます。また、育児休暇や年次有給休暇、介護休暇、特別休暇などの休暇も整備されているため、安心して働くことができます。

社会に貢献できる

地方公務員は、社会に貢献できてやりがいを感じられます。住民が安心して暮らせるように働くのが地方公務員の役割であり、感謝されることも少なくありません。住民の声をダイレクトに聞き、その声を活かして仕事に取り組めるため、非常にやりがいのある仕事です。

民間企業であれば、利益の追求は避けられませんが、地方公務員は利益の追求がなく、社会貢献に集中できる職種です。

仕事を続けやすい

グローバル企業の社員や全国転勤がある国家公務員であれば、海外への転勤や地方への出向など転居を伴う人事異動が考えられますが、地方公務員は県内や市内の人事異動が多いです。仮に県外・市外への異動があっても、転居を伴うケースはまれです。また、倒産・リストラの可能性が低いため、安定して仕事を続けやすい環境にあります。

社会的に信頼される

地方公務員は収入が安定していて、倒産やリストラの心配も少ないため、社会的な信頼度が高いです。具体的には住宅や自動車のローン、クレジットカードの審査に通りやすく、将来、マイホームなどの大きな買い物を予定している場合も安心です。

地方公務員に向いている人

地方公務員は、安定した収入や身分保障がある人気の職種です。ここでは、どのような人が地方公務員に向いているのかを解説します。

安定した仕事に就きたい人

地方公務員は民間企業の社員と比べると安定していて、給料水準が高いです。したがって仕事を選ぶ際に職業の安定性を重視する人は、地方公務員に向いています。景況や業績に関係なく、給料水準が高くボーナスも支給されます。

ライフワークバランスを重視したい人

ライフワークバランスを重視する人も、地方公務員に適しています。福利厚生がしっかりしているため、多くの休暇を取ることができ、プライベートの充実を図れるでしょう。民間企業のなかには休暇が取得しにくい環境になっている企業もめずらしくありません。

まとめ

地方公務員は安定した収入と充実した福利厚生が魅力で、社会に貢献できるやりがいのある仕事です。収入は民間企業よりも高く、ボーナスや退職金も手厚いです。また、転居を伴う異動が少なく、安定して働き続けることができます。試験は上級・中級・初級に分かれており、最終学歴に応じた受験が一般的ですが、学歴に関係なく受験することも可能です。さらに、地方公務員は社会的な信頼度が高く、ローンやクレジットカードの審査にも有利です。安定した職を求める人やライフワークバランスを重視する人に特に向いています。

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