教員として子供たちの成長を支え、次世代を担う者としての役割を果たすには、適切な資格と経験が求められます。そこで本記事では、どのようにして教員となるのか、そして教員免許の取得方法について詳しくご紹介します。
教員免許状とは、教職に就くための必須の証明書のことです。この免許を取得するための方法は大きく2つ。一つは大学や短期大学で教職課程を履修する方法、もう一つは教員資格認定試験を受ける方法です。
教員免許を持つことのメリットとして、公立や私立の学校で教員として働くチャンスが得られるだけでなく、教育に関する深い知識や実際の教員の仕事を体験する機会も増えます。
さらに、多様な学部の学生との交流が増えるため、視野が広がることも。また、公立学校と私立学校の先生としての違いや、それぞれの求める資格や経験についても詳しく触れていきます。
教員を目指すすべての学生にとって、有益な情報を提供することを目指していますので、ぜひ最後までお読みください。
教員免許状とは
教員免許状とは、教職に就くための証明書のことで、これを保持することで教員としての仕事を希望することができます。教員免許状は3種類存在し、それぞれ普通免許状、臨時免許状、特別免許状となっています。
特に普通免許状はその取得条件によって3つのカテゴリーに分かれています。具体的には、短期大学を卒業すると二種、4年制大学を卒業した場合は一種、そして大学院を卒業すると専修の普通免許状を取得できます。
しかし、この免許状を取得しただけで自動的に教員になれるわけではありません。教員として働くためには、公立や私立の学校での教員採用試験を受験し、合格する必要があります。教員免許状は、この採用試験を受けるための「スタートライン」と考えることができます。
さらに、教育学部に所属していない学生や、教員養成課程のない教育学部の学生でも、自身の専攻分野の学科に加えて教職課程を履修することで教員免許を取得することができます。
ただし、この場合は教職課程専用の科目を履修するため、所属学部の通常のカリキュラムに追加で授業を受ける必要があり、負担が増えることも覚悟しなければなりません。
教師になるには？
教職を目指す多くの方々にとって、その道は明確に2つに分かれます。それは、大学等で教職課程を取得する方法と、教員資格認定試験を受ける方法です。以下、それぞれの方法について詳しく解説いたします。
大学等で教職課程を履修する方法
教員免許状の取得は、大学や短期大学の教職課程で必要な単位を取得し、卒業することで実現します。教育学部ではない学生も、教員免許の取得が可能です。実際に、受験者の約7割は一般の大学や学部出身です。具体的な取得単位等の詳細については、各大学の教職課程センターやキャリアセンターでの相談が推奨されます。
既卒の方や転職を考える方は、通信制大学や科目履修生として、必要な単位を取得することが一般的です。具体的には、通信制の大学では最短2年、科目履修生の場合は最短1年で取得が可能です。それぞれの方法についての詳細や取得単位の確認は、都道府県教育委員会で行うことができます。
教員資格認定試験を受ける方法
一部の校種、例えば幼稚園、小学校、特別支援学校（自立活動）の教員免許状は、大学等に通わずとも「教員資格認定試験」に合格することで取得可能です。
試験は1次と2次の2段階で行われます。1次試験は筆記試験で、教職教養と専門教養の択一式及び論述式試験が実施されます。2次試験では、指導案の作成や模擬授業、口頭試問などが行われます。
この試験は非常に競争率が高く、合格率は約10～20％と言われています。詳細や過去問については、独立行政法人教職員支援機構の公式ホームページで確認することができます。
最後に、教員免許状を取得するだけで教員になれるわけではありません。公立や私立の学校の採用試験を受け、合格する必要があります。
大学生が教員免許を取るメリット
教員免許の取得は、多くの大学生にとっては大きな負担となるかもしれません。しかし、その取得には数多くのメリットが存在します。ここからは、教員免許を取得することの5つのメリットについて深堀りしてご紹介いたします。
教員採用試験を受けられる
教員免許取得の最大の利点は、やはり学校教員になれることです。もちろん、教員としての採用を受けるためには教員採用試験を受ける必要がありますが、教員免許を持っていればその受験資格を得ることができます。
しかし、試験は難易度が高く、全ての受験者が合格するわけではありません。そのような場合でも、教員免許の保有者は講師として学校での活躍の場があります。契約講師として、児童や生徒たちへの教育の機会を得ることができ、この契約は1年ごとの更新となります。
教育業界についての理解が深まる
日本の教育学部の教職課程や教員養成課程は、単に教科の指導方法だけでなく、学校のシステムや教員の役割についての深い知識を提供しています。このような課程を通じて、学生は学校や教員の実態を詳細に学び、教育業界の核心をつかむことができます。教育学部に限らず、この課程を体験することで、日本の学校教育への理解を深めることができるのは大きなメリットだと考えられます。
教育実習を体験できる
日本の教員を目指す学生たちにとって、教育実習は必須のプログラムであり、実践的な経験を積む絶好の機会となっています。実習の期間は、希望する校種によって変わり、小学校では4週間、中学校では3週間、高校では2週間の期間が設けられています。そして、多くの学生がこの実習期間を通じて、教員としての大切な役割や責任を深く理解することができます。
教育実習は、教員としての第一歩とも言える重要なフィールドワークです。実際に児童や生徒の前で指導を行い、日常的な業務を経験することで、教員の仕事の奥深さやその重要性を身をもって知ることができます。また、教育実習は単に指導の実践だけでなく、実際の現場の先生たちからの貴重なフィードバックを直接受け取る機会でもあります。
民間企業のインターンシップとは異なり、教育実習では学生たちは完全に現場に身を置くことが求められるため、非常に高い実践性が求められます。それは、教育という仕事の特性上、即戦力として活動することが前提とされているからです。
そして、この実習を通じて、学校という場所の運営や、教員の仕事がどのように行われているのか、その実態を深く知ることができるのです。教員を目指さない学生であっても、一度は経験してみる価値のある、学校現場の実際を知ることができる機会と言えるでしょう。
他学部の学生と話す機会が増える
教職課程に参加する学生は、独自の授業内容を通じて多様な学生との交流の機会を持つことができます。教職科目の授業では、実際の教育現場を模倣し、さまざまな場面での対応方法を共同で考えるため、異なる学部・学科の学生との意見交換が盛んに行われます。
このプロセスを通じて、異なるバックグラウンドを持つ学生たちとの視点の共有や新しい友情を築くチャンスが増え、教職課程が持つ多様性の中で自分自身の成長を実感することができるのです。
将来の選択肢が増える
教員免許を保持することは、多くの可能性を秘めた資格の一つと言えます。その一つの大きな利点は、教育に関する専門的な知識を有しているという証明になる点です。特に、子どもとの接触が多い職種では、この免許が持つ価値は計り知れません。それにより、自身のスキルや経験を効果的にアピールすることができるのです。
また、社会人としてのキャリアを積んだ後で教員を目指す際にも、教員免許は大きなアドバンテージとなります。実際、いくつかの自治体では社会人枠を設けており、異業種からの転職を検討する人々に対して、教員への道が広がっています。
免許を持っていない場合は、免許取得のための勉強をする必要がありますが、免許をすでに持っていると再び学び直すことなく、教員採用試験の準備に集中できるのが大きな利点です。このように、教員免許を取得することは、将来のキャリア選択の幅を広げ、多彩な道を選ぶ一助となるのです。
公立と私立との違い
教員としての職を志す者にとって、公立学校と私立学校との間には、大きな違いがあります。公立学校の先生になるためには、公務員として各自治体の教育委員会が実施する教員採用試験に合格する必要があります。一方、私立学校は学校法人などの運営母体によって設置・運営され、そのための採用方法も異なります。
項目の比較:
| 項目 | 公立学校の場合 | 私立学校の場合 |
|---|---|---|
| 採用経路 | 全国68自治体の教育委員会が実施する採用試験 | 各学校が実施する採用試験 |
| 選考時期 | 毎年1回（6～9月） | 学校による |
| 採用者数 | 毎年多数の採用がある | 各学校の欠員状況による |
| 異動の有無 | 3～5年で異動あり | 異動なし |
| 給料や福利厚生 | 公務員であるため充実している | 学校による |
| 昇格の方法 | 管理職試験 | 学校による |
| 研修 | 充実している | 学校による |
公立学校の先生になる場合
公立学校の教員は公務員の身分となり、全国68の自治体が実施する教員採用試験を受ける必要があります。試験は毎年夏に実施され、合格者は翌年の4月から教職に就くことになります。配属校は合格後の年明け1～3月に通知されます。
教員採用試験は筆記試験、人物試験、そして一部の校種や教科では実技試験が実施されることもあります。高い競争率の中での採用を目指すためには、十分な準備が求められます。
私立学校の先生になる場合
私立学校の採用方法は各学校によって異なります。公立学校とは異なり、私立学校の教員は公務員ではなく、各学校や学校法人が独自の採用試験を実施します。そのため、採用の時期や方法、募集人数は学校ごとに大きく異なる場合があります。
さらに、「私学適性検査」というものがあり、これは教員希望者が私学協会に登録するための試験であり、採用試験そのものではありません。この検査を通じて私立学校の採用担当者が希望者の情報を得ることができ、興味を持った学校からの選考試験の案内が送られることがあります。
まとめ
教員免許状は、教師としての資格を示す公的な証明書であり、それを持って初めて公立や私立の学校での教育活動が認められます。教員免許を取得するには主に二つの方法があります。一つは大学や短大などの高等教育機関で教職課程を履修する方法、もう一つは教員資格認定試験を受ける方法です。
大学生が教員免許を取得することには多くのメリットがあります。教員として働くための第一歩として、教員採用試験を受ける資格を得られます。また、教育業界についての知識や理解が深まり、実際の教育現場での実習を体験することができます。さらに、教職課程を履修することで、他学部の学生との交流の機会が増え、異なる視点や考え方を学ぶことができます。そして、教員免許を持つことで、将来のキャリア選択の幅が広がります。
公立学校と私立学校での教員としての働き方には違いがあります。公立学校の先生は、主に地方自治体の教育委員会の下で働くことになり、公の教育機関での採用試験を受ける必要があります。一方、私立学校の先生は学校法人や団体の下で働くことになり、それぞれの学校が独自の採用基準や条件を持っています。
