理系は学会に参加すべき?メリット・デメリットを解説

News

理系学生にとって学会への参加は、研究成果を広めるだけでなく、学術的な成長やキャリアの発展にも大きなメリットがあります。

学会発表は研究者や専門家とのフィードバックや議論の場であり、学術コミュニティへの参加と交流の機会でもあります。自身の研究の信頼性と評価を高めるだけでなく、新たな知見やネットワークを得ることも可能です。

学会参加は個人の目標や状況に合わせて考えるべきですが、一般的には学会への積極的な参加がおすすめされます。

この記事では、理系学生が学会に参加するメリット・デメリットを紹介します。



学会とは?

学会は、研究者が研究成果を共有し、その妥当性を議論する場です。講演、研究発表会、学会誌などを通じて研究者は自身の研究成果を公表し、同じ分野の専門家や他分野の研究者からフィードバックを得ます。

また、学会は研究者間のネットワーキングの場でもあり、新たな視点や研究の可能性を発見するきっかけを提供します。更に、参加者は自分の専門分野の最新動向を把握したり、新しい情報を得ることができます。

学会は各専門分野ごとに存在します。例えば、物理学、心理学、医学、工学など、幅広い分野で学会が開催されています。

また、国内外にも多くの学会が存在し、それぞれの学会が独自の目的や目標を持ち、研究の普及と発展に寄与しています。

国際会議との違いは

国際会議は、各国の研究者が一堂に会し、最新の研究成果を共有し、国際的な視点で議論を深める場です。学会と同様に研究発表や意見交換の場となりますが、参加にはより高いレベルの専門知識と英語能力が要求されます。

国際会議では、通常、英語での講演が基本となります。これは、参加者が各国から集まるため、共通言語である英語で情報を共有することが求められるからです。また、専門的な議論を行うため、一定レベル以上の専門知識を持つことも必要とされます。

更に、国際会議では、講演の概要をまとめた「プロシーディングス」を作成し、提出することが求められます。プロシーディングスは、学術論文とは異なりますが、その内容は公開され、他の研究者によって引用されることもあります。

また、一部の研究者にとっては、プロシーディングスの作成は研究業績として認められる場合もあります。 国際会議への参加は、研究者の視野を広げ、異なる文化背景を持つ研究者との交流を通じて新たな視点を得る絶好の機会です。

ただし、その参加には、英語力や専門知識、準備時間など、一定の投資が必要となることを理解しておくことが重要です。



学会に参加するメリット

ここからは、学会に参加するメリットを6つ紹介していきます。

学会に参加するメリット

・卒論や修論の作成の練習ができる
・フィードバックがもらえる
・プレゼン能力が向上する
・就活で有利になる
・旅費を負担してもらえる可能性がる
・他大学・研究機関・企業に知り合いができる

卒論や修論の作成の練習ができる

学会への参加は、研究の流れを整理し、その後の卒業論文(卒論)や修士論文(修論)の作成を円滑に進めるための大きな一歩となります。学会では、以下のような研究の各フェーズを体験できます。

1. 研究背景: 自分の研究がなぜ重要なのか、どのような問いに答えようとしているのかを整理します。
2. 実験方法: 使用した手法や実験設定、理由等を明確に説明します。
3. 取り組み: 研究過程で行った具体的な行動や試みを詳細に記述します。
4. 結果: 実験から得られたデータや分析結果を提示します。
5. 考察: 結果から何が読み取れるのか、何が新しくわかったのかを議論します。
6. 課題: これから解決すべき問題点や研究の展望を考えます。

アブストラクトの提出から、プレゼンテーションやポスターの作成に至るまで、学会への参加は、卒論や修論を書くための基本的なスキルを磨く機会となります。

学生のうちに学会経験を積むことは、卒論や修論の執筆をよりスムーズに進めるだけでなく、研究者としての専門的スキルやコミュニケーション能力を高める助けとなります。

フィードバックがもらえる

学会への参加は、自分の研究に対する専門家のフィードバックを得る貴重な機会です。自分の研究分野に深く精通した他の学者や研究者から直接、助言をもらうことができます。これは、自身の研究の質を向上させるだけでなく、新たな視点やアプローチを発見するきっかけとなる可能性があります。

フィードバックは、研究の価値を肯定するものであれ、改善の必要性を指摘するものであれ、ともに有益です。「面白いね」との肯定的な意見は、自身の研究への自信を強化し、研究へのモチベーションを維持する助けとなります。

一方で、指摘や批判は、自分の研究の不完全な部分や見落としている点を明らかにし、次のステップへの改善策を考えるためのヒントを提供します。

加えて、学会は専門家間で新たなアイデアや知識を共有し、学術分野全体の発展に寄与する場でもあります。他の研究者の発表を聞くことで、最新の研究トレンドを把握し、自分の研究に活かすインスピレーションを得ることができます。

これらを踏まえると、学会は研究者にとって自身の研究を深め、研究コミュニティ全体とのつながりを強化する非常に重要な機会です。

プレゼン能力が向上する

学会への参加は、プレゼンテーション能力を向上させるための実践的な機会となります。一般的に、学会では決められた時間内に研究成果を発表するため、情報を効率的かつ簡潔に伝える技術が必要とされます。

これは、情報を適切に整理し、視覚的に魅力的なスライドを作成し、理解しやすい説明を提供するためのスキルを磨くことを意味します。

さらに、英語を使用しての発表は、海外での学会参加などを通じて得られる特別な経験です。これは、英語でのコミュニケーションスキルを向上させるだけでなく、多文化的な視点を得るための良い機会ともなります。

プレゼンテーションは、自分のアイデアを他人に伝え、共有するための重要なツールです。したがって、学会での発表は、自分の研究を人々に理解してもらうための、そして自分の考えを効果的に伝えるための重要な能力を磨く絶好の機会です。

就活で有利になる

学会への参加は、就職活動における強力な武器となります。まず、学会発表は研究に真剣に取り組んだ証であり、深い専門知識を獲得したことを示すものです。学会での発表はあなたが特定の領域に精通し、情熱を持って取り組むことができることを証明します。

さらに、学会での発表は、情報を整理し、複雑なアイデアを明確に伝える能力を示す機会でもあります。これは、どの業界でも必要とされる重要なコミュニケーションスキルの証明です。

最後に、学会での発表は客観的な業績であり、自己PRの強力なツールとなります。これらはあなたが積極的に学問に取り組み、自己成長を重視する人物であることを示します。これらの要素は全て、就職活動において高く評価される資質です。

旅費を負担してもらえる可能性がる

学会への参加は、旅行の一環としても楽しむことができます。多くの学会は全国、あるいは世界各地で開催されますので、新たな地域や文化を経験するチャンスでもあります。特に、大学や研究機関が旅費を支援してくれる場合、その地域を探索する余裕ができます。

しかし、ここで大切なことは、学会への参加が「楽しむため」だけでなく、「学び」の場であるということを忘れないことです。発表を聞いたり、自身の研究を発表したり、他の研究者と意見交換を行うことで得られる知識や経験は、あなたの研究やキャリアに大きな貢献をするはずです。

また、宿泊費や交通費の補助があるかどうかは、各大学や研究機関の規定によりますので、事前に確認することをお勧めします。学会参加は研究の一環であり、旅費補助があればそれはさらなるメリットとなります。

他大学・研究機関・企業に知り合いができる

学会への参加は、他の大学、研究機関、企業の専門家とのネットワークを築く絶好の機会です。これらのつながりは、あなたの研究やキャリアに対する視野を広げ、新たな視点やアイデアを提供します。

学会では、あなたの研究領域に深く関与する専門家たちと直接対話することができます。これは、特定の課題に対する新たな解決策を見つけるための洞察を得るため、または可能性のある研究パートナーシップを探るために非常に有益です。

また、懇親会やカジュアルな社交イベントは、より広範なネットワークを築くための場です。ここで人々と交流し、自分の研究や興味を共有することで、未来の仕事の機会や共同研究の可能性が広がるかもしれません。

卒業後の研究職を目指す学生にとっては、学会でのコネクションは極めて価値があります。これらの関係は、キャリアの発展、研究の質の向上、そして研究資金獲得の機会を広げる可能性があります。

学会に参加するデメリット

学会参加には、メリットだけでなくデメリットもあります。

学会に参加するデメリット

・時間と労力が必要

時間と労力が必要

学会への参加は、知識を深め、研究成果を共有するための重要な機会ですが、その裏側には隠れた負担があります。学会発表の準備は、アブストラクト作成から追加実験、スライド作成と多岐にわたり、時間と労力が大量に必要です。

特に大学院生は、学業、就活、アルバイトと並行してこれらの準備を進めなければならず、非常に忙しくなります。この忙しさは予想以上で、学会期間中の生活は厳しくなります。しかし、この厳しさを乗り切ることでマルチタスク能力が鍛えられるとも言えます。就活と重なる学会は特に慎重に参加を考えるべきです。



まとめ

学会への参加は、新たな知識を得ると共に、自身の研究成果を広く共有する貴重な機会です。しかし、その準備には多大な時間と労力が必要であり、特に就職活動や他の多忙な時期と重なる場合には慎重に判断が求められます。

学会参加におけるメリット・デメリットは以下の通りでした。

学会に参加するメリット

・卒論や修論の作成の練習ができる
・フィードバックがもらえる
・プレゼン能力が向上する
・就活で有利になる
・旅費を負担してもらえる可能性がる
・他大学・研究機関・企業に知り合いができる

学会に参加するデメリット

・時間と労力が必要

学会参加のメリット・デメリットを総合的に考えると、平常期には参加することを、就活など多忙な時期には参加を見送ることを推奨します。費用と労力は必要ですが、得られる経験と知識は非常に価値があるものです。

大学院生ならば、少なくとも一度は学会に参加し、その経験を通じて自身の研究やスキルを深化させることをおすすめします。

コメント

  1. […] 【関連記事】理系は学会に参加すべき?メリット・デメリットを解説   […]

タイトルとURLをコピーしました