IT業界は、革新的な技術と多様なキャリアパスを提供する、急成長を遂げている業界です。ソフトウェア開発からハードウェア製造、情報処理サービス、インターネット・Webサービス、そして通信インフラに至るまで、IT業界は幅広い分野をカバーしています。
それぞれの業界は独自の特徴を持ち、専門的なスキルと経験が求められるため、業界ごとの仕事内容や平均年収を理解することが重要です。この記事では、IT業界の各セクターの概要と、そこで働くことの意味や可能性について解説します。
IT業界とは
IT業界は「Information Technology(情報技術)」を活用したサービスを提供する企業の集合体です。この業界はソフトウェア、ハードウェア、情報処理サービス(SI)、インターネット・Web、通信インフラなど多様な分野で構成されています。それぞれの分野は独自の特徴を持ちながらも、お互いに連携し合っています。
重要な技術
- IoT × 5G:物やデバイスがインターネット経由で通信し、自動運転や遠隔医療などに活用される技術。
- クラウド:インターネット上でサーバーやソフトウェアを利用する技術。
- AI(人工知能):大量データの処理や高度な予測分析を実現する技術。
- VR/AR:仮想現実や拡張現実を生み出し、多様な体験を提供する技術。
- デジタルトランスフォーメーション(DX):デジタル技術を駆使して企業の業務効率化を図る概念。
将来性
IT業界の市場規模は2020年で51.0兆円に達しましたが、新型コロナウイルスの影響で若干の減少が見られました。しかし、大企業を中心にIT投資は継続されており、特にAIやIoT、ビッグデータの分野での人材不足が予測されています。政府や民間企業は、これらの技術分野での人材育成に力を入れており、特に若手のIT人材の発掘と育成に注目が集まっています。
また、新型コロナウイルスの影響を受け、テレワークやリモートワークが普及したことで、IT業界への関心が高まっています。20代を中心に、将来性や働きやすさからIT業界への転職を考える人が増えている傾向にあります。
ソフトウェア業界
ここからはソフトウェア業界について解説します。
仕事内容
ソフトウェア業界は、コンピューターやアプリなどのプログラム開発に携わる業種です。この業界での仕事は「手に職」系と見なされ、将来的にフリーランスとして独立する道もあります。
主な職種
- システムエンジニア(SE):システムの設計、開発、テストを担当
- プログラマー:システムをプログラミングし、サービスを形にする
- ネットワークエンジニア:ネットワークシステムの構築、保守を行う
職種の特徴
- 技術や仕組みを理解するのが得意な人に適している
- IT業界の変化に対応し、学習意欲が重要
業界の特徴
- B to BとB to Cの企業が存在する
- 自社製品を持つ企業が強い
- 新規参入しやすい業界
有名なソフトウェア企業
- サイボウズ
- 日本オラクル
- Microsoft
- オービック
平均年収
ソフトウェア業界の平均年収は479万円です。自社でソフトウェアを開発している企業では、より高い年収が期待できます。しかし、多重下請け構造の影響で、下請け企業では年収が低く、労働環境も悪い傾向があります。
ソフトウェア業界に向いている人の特徴
- モノ作りが好きな人
- 長期的に企業に勤めることができる人
- ITを活用してビジネスの問題を解決したい人
ハードウェア業界
ここからはハードウェア業界について解説します。
仕事内容
ハードウェア業界は、パソコン、スマホ、電化製品などのハードウェアの開発を主に行う企業群です。B to BとB to Cの両方の開発を行い、IoTの分野が特に注目されています。
業界の特徴
- 電子機器をB to B、B to Cに対して開発する
- 大手企業が市場を独占している状態
- 新規参入が難しい
- 開発と営業が主な仕事
有名なハードウェア業界の企業
- Apple
- Sony
- 日立
- Panasonic
- 富士通
- TOSHIBA
職種
- 理系:ハードウェアの開発や組み込みシステムの開発など。
- 文系:営業、企画、販売など。
平均年収
ハードウェア業界の大企業では年収600万円以上が期待できますが、下請け企業では年収が低く、厳しい労働環境になることもあります。技術職の方が年収が高い傾向にあります。
ハードウェア業界に向いている人の特徴
- モノ作りが好きな人
- 長期的に企業に勤めることができる人
- 安定して大企業で働きたい人
情報処理サービス(SI)業界
ここからは情報処理サービス(SI)業界について解説します。
仕事内容
SIer(システムインテグレーター)は、クライアントの要望に応じてシステムを開発するB to B業界です。業務内容は金融システム、運輸システム、業務システムなど多岐にわたります。クライアントワークが主体で、納期の厳格さと残業の多さから、ブラック企業が多いとされます。
業界の特徴
- B to B市場でのクライアントワークが主体
- 企業の問題をシステムで解決
- 多重下請け構造があり、ブラック企業が多い
有名なSIer企業
- NTTデータ
- 日立製作所
- 伊藤忠テクノソリューションズ
- SCSK
主な業務内容
- システム開発
- システムの保守・管理
- 営業
- 企画、設計
- テスト、チェック
平均年収
SIer業界の年収は、企業によって異なります。大手企業では年収1000万円以上も可能ですが、多重下請け構造の影響で下請け企業では年収が低くなります。
SIer業界に向いている人の特徴
- エンジニアとしてスキルアップしたい方
- 大手のSIerで高い年収を目指したい方
- モノ作りが好きで、長期的に企業で働きたい方
インターネット・Web業界
ここからはインターネット・Web業界について解説します。
仕事内容
インターネット・Web業界は、企業のホームページ制作やESサイトの開発など、主にクライアントワークを行うB to Bのビジネスです。Webデザイン、コーディング、進捗管理などが主な業務で、Webディレクターやデザイナーが重要な役割を果たします。
業界の特徴
- クライアントワークが主体
- WebサイトやESサイトなどの制作
- 最先端の技術は少ないが、ディレクターやデザイナーの希少価値が高い
- 納期に迫られる、残業が多い傾向
有名なWeb制作系の企業
- LIG
- チームラボ
- カヤック
- グッドパッチ
主な業務内容
- Webデザイン
- コーディング(WordPress、JavaScript、HTML/CSS)
- クライアントワーク
- テスト・チェック
- 進捗管理
平均年収
Web制作業界のWebディレクターの平均年収は約482万円です。年収はクライアントワークを中心に行うため、自社開発の企業に比べて若干低めですが、取引先が大手企業の場合は平均年収が上がることもあります。
インターネット・Web業界に向いている人の特徴
- Webサイト制作に興味がある人
- 将来的にWeb系のフリーランスで独立したい人
- 客観的に物事を判断できる人
通信インフラ業界
ここからは通信インフラ業界について解説します。
仕事内容
通信インフラ業界は、インターネットやスマートフォン、Wi-Fiなどの通信回線や設備を運用する業界です。業務はネットワークの構築と管理、セールス、カスタマーサポート、そして保守・管理に分類されます。5Gなどの新しい通信技術の開発に携わる研究開発の仕事もあります。
業界の特徴
- B to BとB to Cの両方をカバー
- 通信インフラの提供
- IT業界の土台となる重要性
- 独占市場の傾向
- 最先端技術の導入
有名な通信インフラ系の企業
- NTTドコモ
- KDDI(au)
- ソフトバンク
主な業務
- ネットワークの開発
- セールス
- カスタマーサポート
- 保守、管理
平均年収
通信業界の平均年収は611万円です。技術職とセールス職では年収が異なり、ネットワークエンジニアやセールスエンジニアは比較的高い年収を得ています。社会インフラを整備している企業では、さらに高い年収を得ることができます。
通信インフラ業界に向いている人の特徴
- 裏で人を支えることが好きな人
- 社会のインフラに携わりたい人
- インフラを支える強い責任感を持つ人
まとめ
IT業界は多岐にわたる分野を含み、各業界での仕事内容と平均年収が異なります。ソフトウェア業界はプログラムの開発に重点を置いており、ハードウェア業界は物理的なデバイスの製造に焦点を当てています。
情報処理サービス(SI)業界では、企業向けのシステム開発とサポートが主な業務で、インターネット・Web業界はWebサイトや電子商取引の開発に特化しています。通信インフラ業界は、通信技術とネットワークインフラの構築・管理に注力しており、社会の基盤を支えています。これらの業界は、IT業界の将来性と成長を反映しており、技術の進歩に伴い、それぞれの業界で新しい機会が生まれています。